「バチ抜け」とは、バチと呼ばれるイソメの仲間が産卵のために河川で大量発生し、それをシーバス(スズキ)が捕食するパターンです。
このとき、まさに入れ食いと言えるほど、シーバスが大量に釣れる状態になり、初心者でも「爆釣」させるチャンスでもあります。
この記事では、初めての方でもわかるように、バチ抜けについて、そもそも何なのかに加え、爆釣になる時間帯や釣りのポイント、使用推奨のルアーなどを解説します。
バチ抜けとは
バチ抜けは確かに簡単に釣ますが、釣れるタイミングがシステマチックに決まっています。これを間違えると逆に1匹も釣れなくなるのです。
そうならないよう、まずは、そもそものバチ抜けについて理解しておきましょう。
真冬のシーバス偏食パターンの1つ
バチ抜けとは、河川の底に潜むイソメやゴカイなどの「バチ」と呼ばれる虫が、産卵のために一斉に湧き出すことです。
関東地方(東京湾エリア)だとだいたい12月ごろから始まり、5月くらいまで続きます。年によりますがハイシーズンは2月以降と言われます。
バチが抜けは水面にパスタが浮いていると言われるほど大量に湧きます。そんなフィーバ状態ですのでシーバスも流れてくるイソメを食べるだけになり、ベイトフィッシュに見向きもしなくなるのです。
上記はバチが実際に泳いでいるところを撮ったもの。動きが遅く、シーバスの追撃をかわせるほどすばしっこくないことがわかります(ハイシーズンはもっとウジャウジャいます)。
こういうときは、アピールが強いルアーには全く反応がない一方で、バチ抜け用のルアーでは1投1キャッチも過言ではないほど釣れる…ということが起こります。
バチ抜けが起こる場所
バチ抜け(バチパターン)が成立する場所は土や砂などが堆積する汽水域や港湾部などが多いです。ハゼはイソメを捕食するため、ハゼがよく釣れる場所はバチも多く抜けます。
東京湾には、荒川や多摩川など、バチ抜けで有名な河川がたくさんあります。毎年その時期、下流域のバチ抜けの時間帯には釣り人でいっぱいになります。
バチ抜けが起こる時間帯
バチ抜けは必ずナイトゲームです。なぜなら、バチは夜に産卵するからです。
稀にデイゲームでも釣れるらしいですが、1投1キャッチを意味する「バチ抜け」という感じではないです。
私や私の友人は最初、バチ抜け=釣れる、と聞いていそいそと昼に出かけたことがありましたが、もちろんボウズでした(笑)
私のような方もきっといる…と思いますので、初めての方でバチ抜けを狙いたい方はご注意ください。
バチ抜けは潮汐表チェックが欠かせない
バチ抜けは、大変規則正しく始まります。その条件は以下の通りです。
バチは必ず、夜、満潮後の下げ、海に向かっての流れが一番速くなるときに抜けます。そのタイミングでシーバスの荒食いが始まります。
これらは、潮汐表で確認できます。他の釣りよりも潮汐の変化の影響が大きいので、釣行計画を立てる際は必ず潮汐表とカレンダーのチェックを欠かさないようにしましょう。
バチ抜けで釣るための4つのポイント
バチ抜けはミスがなければ絶対釣れます!ではバチ抜けでミスをしないための4つのポイントを理解しましょう。
1)シーバス荒食いの「フィーバータイム」を見逃すな!
バチ抜けパターンは、急に始まり、急に終わります。
それまで静かだったのに急にシーバスのボイル(表層のバチを食べ、水がばしゃっとなる現象)が乱発します。このときに1投1キャッチのフィーバータイムとなります。
フィーバーは満潮前後から起こります。そのため、満潮少し前から釣り場に入るようにしましょう。
満潮少し前の時点でルアーや仕掛けの準備は完成状態にしましょう。ボイルが起きたらすぐに投げられるようにします。本当に「うそ~マジで!?」というくらい釣れます。もちろん、それ以外の時間帯でも釣れますが、このフィーバータイムは見逃さないよう、事前準備は入念に。
2)バチ抜けルアーの基本は「細めのフローティング」
ルアー選びの基本は細身のフローティング系ルアーです。リップレスで水面直下を泳ぐようなアピール力弱めのものを使用します。
冬のバチ抜けの時期は風があるときも多いです。すると、水面直下は風で荒らされてしまうので、少し潜って泳いでくれるようなシンキングペンシルも必要です。
3)リーダーは3号程度に
冬の静かで繊細な釣りでは、細いラインのほうがシーバスに見切られにくく、釣れやすくなります。そのため、バチ抜け時のショックリーダーは3号程度の細いものを使用してみましょう。
根ずれ、ブレイクは、こまめにショックリーダーの表面上の傷をチェックしていれば大丈夫。
根の多いところでは、プロも使用しているグランドマックスがおすすめ。
グランドマックスは、同じ太さでも密度のあるリーダーです。
例えば一般的なリーダーは、16ポンドの重さだと、4号の太さになりますが、グランドマックスは16ポンドで3.5号。厳密に比較はできませんが、他社の4号の太さで期待される強度を、グランドマックスなら3.5号で期待できる、とも言えます。
4)リールは激しく巻かない
バチの泳ぎに合わせ、ルアーはとてもゆっくり巻きます。
バチ抜け時期は水温が冷たく、シーバスも産卵後で疲労がたまり、速く動くものには反応しません。
具体的には、流れに合わせルアーの糸を張りすぎず、緩めすぎない…ギリギリルアーのコントロールを取れる速度です。
流れに合わせるので、ゆっくりと言っても流れが速い場合は巻き速度も上がります。その場の流れなどをよく見て操作しましょう。
バチ抜けにつかえるルアー5選!
バチ抜けは先に示した細長いアピール低めのルアーであれば間違いなく釣れます。
とはいえ、具体的にどんなルアーが使われているのか知りたいものですよね。そこで、バチパターンで釣れるといわれる有名ルアーを5つご紹介します。
ノガレ
売り切れ必須の超人気ルアーがノガレです
バチ抜けではNo1ルアーといえる定番ルアーです。
このルアーは水面直下…つまり潜りません。表層に若干浮き上がって見えるくらいの浅いところを泳ぎます。そしてその表層に作り出す波紋がシーバスのバイトを誘います。
ただ、軽くて遠投はできず、水面から飛び出す仕様です。そのため、風が強く、波が立っているときなどは使えません。昨年は品薄で、5000円以上するか売り切れが当たり前でした。
難点はフックが折れやすく、また、替えのフックもあまり売っていないこと。フックについてはこちらの記事もご覧ください。
マニック
マニックはとにかく飛距離抜群。タックルにもよりますが、うまく投げれば70m近く飛びます。
そして立ち上がりが早く、ゆっくり巻いてもすぐに浮いてくるので、表層付近を引いてくるのに適したルアーです。
ノガレよりは潜るため、爆風なのに、バチは浮いているというような2月ごろの時期に便利です。
エリア10(エリテン)
エリア10(エリアテン)はバチ抜け定番ルアーです。
多くのバチ抜けルアーの中でトップクラスに釣れます。マニック同様、表層を攻めたいときに使えます。
ただ、軽くて飛距離が出ない点がデメリット。風の緩い日などの一投目のルアーとして常駐させたいルアーです。
最大のメリットは価格。2000円以上するルアーもある中で、1000円かそれ以下で売っていることの多いエリア10。売り切れることも少なくコスパ抜群です。
個人的にはこれでタチウオが釣れたりしたこともあったので気に入っています。
feel 150
feel150の特徴は長いフォルムでアピール力が強いこと。さらに、マニックと同程度に飛ぶためバチが多すぎて自分のルアーが目立たないとか、沖の誰も投げていないエリアに投げたいといった場合に使えるでしょう。
また、フローティングタイプとシンキングタイプがあるので、無風のときはフローティングタイプを使用し、ボイルが出ていないときや、爆風で表層が狙えず、中層あたりを攻略したいならシンキングタイプを使用するなど、使い分けられます。
150以外にも様々なサイズ展開がありますので、実はこれ1種類でバチを攻略できてしまうかもしれません…!
ヒソカ
バチ抜けと言うと有名ルアーである「ノガレ」にパッケージが超似ているのが「ヒソカ」。某漫画の連載再開は関係ありません。
バチ抜け用ルアーとしては珍しくリップがついています。水面直下から水深30cmを狙いたいとパッケージに記載がありますが、先ほど述べた有名なルアーノガレに比べるとリップのおかげで水面直下よりは少し潜るイメージです。
確実にバチ抜けを押さえよう
バチ抜けは、抜ける日に釣り場に入ることが大事。なんなら、そういう日に入ればだれでも釣れるくらいイージーな釣りです。しかし、抜ける日に入るのが大変なんですよね。仕事があったり、雨が降っていたり…。なので諦めず通い続けることも大事です。
ここでのメソッドも胸に、バチ抜け「祭り」を楽しんでください。