釣りは「海があればどこでもできる」と思われがちですが、実はそうでもありません。海辺は、立ち入っていい場所と悪い場所があります。
特に東京湾ではとある事情から、「釣り禁止」の場所が多く、それを知らずに漠然と空いている場所で釣りをしてしまうと、知らないうちにマナーを破ってトラブルになったり、場合によっては警察のお世話になることもあります。
今回は東京湾で釣り場探しをする初心者ルアーマンにぜひ知っていてほしい釣り場探しの注意点、特に「東京湾のルアーOKな釣り場がなくなっている現象」についてお話しします。ちょっと悲しいお話です。
なぜ東京湾のルアーOKな釣り場はなくなっているのか
SOLAS(ソーラス)条約
大きな原因になっているのがSOLAS条約です。
SOLAS条約(海上人命安全条約)とは、1912年のタイタニック号海難事故を受けて制定された、船舶の安全確保を目的とする国際条約です。
横浜市Webサイト『SOLAS条約(海上人命安全条約)とは』
この条約が平成14年12月に改正され、外航船と港湾施設の保安対策の強化が義務づけられることとなりました。
SOLAS条約は、引用文の通り、海難事故や港湾の安全対策のためにある国際条約です。国際船舶が安全に航行できるように国を越えて取り極めをしようというのが理念。
問題なのは後半の太字にした部分です。要はテロ対策のために、外航船の出入りの多い東京湾では、立ち入っていい場所と立ち入ってはいけない場所が明確に区別されています。そのため、東京湾沿岸部で潮通しが良く、入れそうな場所であっても、立ち入り禁止である場合がほとんどです。
マナー問題
もう少しソフトに引き付けるとマナー問題があります。具体的には立ち入り禁止区域への立ち入り、ゴミのポイ捨て、コマセなどの汚れを流していかない、違法駐車や夜間の騒音など、挙げれば枚挙にいとまがありません。
最初のころは釣りもOKだったのに、近隣住民などからの苦情が入って釣りNGになる…この流れは東京湾だけでなく、静岡や全国各地でも発生していることです。
>>>>自分のためにも、釣り場で守るべきマナーについてこちらです
ルアー独自のマナー問題
ルアーは投げる釣りなので、他の釣りよりもよりトラブルが発生しやすい釣りです。
キャスト前やキャストしたルアーが通行人にあたる、キャスト後に船舶や橋にあたって破壊する、引っ掛かったままになるなど。こうしたことから、東京都の管理する海上公園は基本的に投げ釣りが禁止です。
このように、「釣りOK」でも「ルアーNG」な釣り場は多くありますので釣りができるからと言ってルアーを投げてしまうと思わぬトラブルにつながる恐れもあるのです。
マナー・法律違反をしない釣り場探しの3つのポイント
見てきたように、東京湾、特に湾奥エリアでは、思った以上に釣りへの規制が強く、知らないうちに決まりを破っている、ということがないように細心の注意が必要です。
「釣り禁止」かでなく「釣りOK」かどうか確認する
公共物である海での釣りは「基本立ち入りOKで、NGな場所だけ気を付けておけばよい」と思いがちですが、実は逆。SOLAS条約の影響もあり、東京湾は基本立ち入り禁止だと思ってきましょう。
したがって、「釣り禁止」の看板や表示が掲げられているかどうか、という視点ではなく「釣りOK」という表示が掲げられているかどうかという視点で釣り場を探すようにしましょう。
釣りOKでも「投げ釣り」「ルアー」がOKどうか確認する
最も陥りがちなのがこの「釣りはいいけど投げ釣りはダメ」という罠です。
東京都が管理する海上公園のほとんどがルアー禁止のように、釣りはOKだけど、投げ釣りやルアーが禁止であるという場所は多く存在します。
例えば、豊洲ぐるり公園は広くて何でもできそうな公園ですが「大きく振りかぶる投げ釣り」は禁止と公式サイトで明言されています。
多くのルアーアングラーがいまだに訪れている暁ふ頭公園も、投げ釣り禁止の看板が立てられました。
どちらも、「新たに投げ釣り禁止だった」のではなく、「ただ看板などで明示されていなかっただけで、実は元から禁止だった」という釣り場です。
「釣りOK」だと安心してその先の投げ釣りができるかどうかまで意識がいかない場合があります。これは意外とyoutuberやプロアングラーの方もやりがちなミスなのです。
釣りOKでも、ルアー釣りができるかはまた別途確認するようにしましょう。
東京湾のルアーOKな釣り場
ここまでNGNGと、気が重くなるような話ばかりしましたが、では、東京湾で気持ちよくルアーができる釣り場はないのか、気になりますよね。
今回は思いつく限りで、ルアーもOKな釣り場を列挙させていただきます。
海釣り公園
正直、懸念されている通りそんなに選択肢はありません。そのような中で、一番合法的に気持ちよくルアー釣りができるのは海釣り公園です。横浜の三大海釣り施設や若洲海浜公園、東扇島西公園など。
ただ、当然のことながら、このような場所は大変混雑します。混雑すればルアーは投げられません。また、有料の海釣り公園などはルアーも制限ができます。
そのため、平日の空いている時間帯や真夜中を狙うのがおすすめです。
河川
SOLAS条約で釣りのできない港湾部と違って、河川は逆に河川法によって占有ができず、釣りも自由にできます。有名どころでは多摩川や隅田川などは足場もよく、釣りやすい場所が広がっています。
ただ、河川での釣りは、回遊魚の来る頻度が低く、難易度が非常に高いのが難点。攻略しがいのある場所ですが、居着き中心で水もきれいではないので「食べよう」と思っている人にはちょっと厳しいかもしれません。
オフショア(船)
もっともよいのは船に乗ること。乗合船でもいいですし、スケジュールに縛られるのが嫌ならボートを運転手ごとチャーターできるボートシーバスという手もあります。
ただ、乗合もボートシーバスも、1回1万円前後の乗船料がかかり、さらには船用に短めのロッドを用意しなければなりません。このように、予算的な問題がある場合はシーカヤックという手もあります。
沖堤防という手もりますが、あちらは実はちょっとグレーなのではないかと思っているので、ここで紹介することは控えます。
まとめ:マナーは極力守る
首都圏には日本一人数がいるため、一人がマナーを守ることにどれだけ効果があるのかわかりません。
しかし、少なくとも自分が釣り禁止の原因になる、トラブルや法律違反の原因になる、という事態は防ぐことができます。月並みですが、ゴミは拾う、うるさくしない、釣り場はきれいにする…このような基本的なマナーは必ず守りましょう。
当ブログがマナーを守る方を増やす一助になれば望外の喜び…
帰り際にちょっと、他の人の捨てたゴミも拾ったりすると、「間違えて捨ててしまった」過去の自分の過ちを少し挽回出来るかもしれません。