シーバスは海の魚ですが、淡水でも生きられ、アユやイナッコを追って河川のかなり上流まで昇ってきます。
河川シーバスは港湾など海とは少し攻略の仕方が違います。海と同じだと思っているとずっと釣れない…ということも起こり得ます。
ただ、押さえどころを押さえれば、河川は通いやすく頻繁に来れるため、海だけの釣行よりもシーバス釣りがずっと楽しくなるかもしれません。
河川シーバスは難しい?
主観的な意見でもありますが、河川シーバスは海で釣るよりも難しい面があります。それは次の理由からです。
河川、特に隅田川や多摩川のような都市河川は釣り人が多く、居着きのシーバスが多いです。これらのせいで、シーバスは偽物(ルアー)かの見分けがつく「スレ」の状態にあることが多いです。
海だと、適当にワームやバイブレーションだけを投げていても、たまたま回遊の群れが回ってきていれば爆釣させられることもありますが、川だとなかなか考えにくいシチュエーションです。
また、河川は狭く、流れやストラクチャーの合間などにダイレクトにルアーを投げ込むなど、潮目をめがけてダイナミックに投げればよい、というのではなく、細かなテクニックが必要なところも、(面白い部分でもありますが)難しい原因でもあります。
服装やタックル
服装・装備はライトで大丈夫
河川は隅田川など都心の川は柵があり整備されているため、重装備は必要ありません(念のためライフジャケットの装着はオススメします)。多摩川のように整備されていない河川の場合は長靴やスパイクシューズなど、それなりの装備をされていくことをおすすめします。
川の中に入って釣りをするためのウェーダーがあると選択肢がかなり広がりますが、ウェーディングは危険も伴いますので初場所に一人で入るなどはお控えください。
タックルも基本はライトだが、状況に合わせて変更するとより○
タックルは海の大場所で使うような100Mなどの長くて硬いロッドではなく、86MLなどの短く柔らかいロッドにするのがおすすめ。狭いところや木が邪魔なところなどで細かくキャストする必要があるため、短い方が取り回しがきいて便利です。
ルアーも細かい水流変化をつかまないと難しいドリフトなどを多用するため、MLなどの柔らかい竿が有利です。
ただし、どんな場合も状況優先です。夏の高活性時などで硬い竿で大遠投するほうが有利な場合もありますので、その時期や行く場所の状況に合わせてロッドも細かく変更するとよりよいです。
河川シーバスの狙い方
河川とオープンエリアの大きな違いは「変化」の多さです。そこを上手に使うと釣果に差が出てきます。
橋脚部を使う
河川は橋が多いため、その橋脚部がねらい目の一つです。理由は二つ、「明暗の変化」と「流れの変化」があるから。
「明暗」はナイトゲームでは特に意識したいところ。シーバスは暗いところに隠れていて明るいところのベイトを捕食します(明るいところから暗いところは見えないことを知っている)。そのため、橋をはさんで上流部側に陣取りましょう。
「流れ」はデイもナイトも狙えます。特に橋脚の後方は流れがひどく寄れていて、泳ぎの下手なベイトを狙ってシーバスが多くいます。
下記の場所は一度入れ食い状態になったことがあります。
流れを使う
河川は基本的に上流から下流へ、水の流れがあります。そのため、橋脚部以外にもあらゆる流れの変化があります。岩や建造物にぶつかる際のヨレ、上げ潮時の海からの強烈な潮の戻しとの衝突、また、何もないように見えてもボトムや水温の変化等で微妙に寄れている部分もあります。
流れについての理解を深めたり、水面をよく観察したり、ルアーの進む感触の違いを把握したりして、流れの違う場所を発見し、そこにルアーを通す…するとシーバスがバイト!ということがよくあるのです。
消波ブロックなどのストラクチャーを狙う
河川は橋脚以外にもあらゆるストラクチャー(構造物)があります。定番は消波ブロック。
消波ブロックは、そのものがストラクチャーにもなりますが、消波ブロックが置いてあるところ=流れに変化があり、護岸が削られやすいところでもあります。そのため、消波ブロックを見つけたらそのポイントはよいポイントです。
その他、下記のように整備されているけれども急にヘチが突き出ていたりと、何かしらの変化をもたらす構造物があったら必ず狙うようにしましょう。
できれば…温排水
特に冬などは温排水が出ている場所がねらい目です。地図を見て、工場や火力発電所、ゴミ処理場などの近くがねらい目。別にお湯ではなくても、流れている川の水より温度が高ければ魚に取って温排水です。だから下水処理場の排水地点もねらい目。
夏でも流れの「変化」になりますし、場合によっては今度は温度を覚ましてくれる場所でかえって魚が集まっている場合もあります。四季を通してまずは押さえておきたいのが温排水です。
ですが、温排水はもっとも有名なポイントであるため、いつでも誰かしらベテランが陣取っています。
どの辺にあるかだけは把握しておき、空いていたら必ず取るくらいの気持ちでいましょう。
釣果を変える河川シーバス攻略のポイント
釣果チェックを忘れずに!
使用ルアーは河川によって全く異なります。そこで、自分が釣行する河川について前もって釣果を調べておきましょう。下流部の河川は基本シーバスアングラーしかいないため、多くの人がどのようなルアーを使って釣っているか検索しましょう。
下記「アングラーズ」は有名です。
例えば私がよくいく多摩川は2021年5月では、キャンディ系やパール系のルアーを使っている人が多い印象でしたが、荒川ではクリアー系やパール系が目立ち、キャンディ系は見ませんでした。
普通にやっていても釣れないため、普段そこで釣っている人のルアーを調べて真似してみることが最大の近道になります。
アユなどのベイトの遡上量を調べる
多摩川や相模川など、アユの遡上で有名な川はその年のアユの遡上量を国土交通省や所管の都道府県などが調べて公開してくれていることがあります。アユパターンは、河川シーバスでの重要なファクター。
【参考例】
是非遡上量を調べてみてください。同じように、他の魚やバチなども遡上量や個体数、抜け数など調べられるものは調べておきましょう。
水量・水温などを調べる
河川は災害防止の観点から水量や水温も公開されていることがあります。水量が多すぎるといつもの場所が水没していたり、逆に干上がって浅く釣れない場所になっていたりします。
水温もシーバスの活性を推測するために重要です。何度からがよいのか、というよりは、前日からの変化を見たほうがよいです。秋~冬ならば、前日より急激に2~3℃以上水温が下がればシーバスの活性は極端に下がりますが、真夏ならば逆に過ごしやすくなって活性が高まる可能性があります。
河川シーバス釣りの注意点
根掛かりに注意する
河川は流れがあるため、砂など軽い堆積物は流されて、ボトムがゴツゴツハードになっていることが多く根掛かりに注意しましょう。バイブレーションなどの重めのルアーを長時間底に放置すると根掛かりの原因になります。
また、ルアーは適切に飛んでも、風でラインが流され、橋脚やストラクチャーに引っかかってもブレイクの原因になります。これに関しては投げる前から綿密にシミュレーションをして、ロストをしないよう注意しましょう。
あまり食べないほうがよい…
東京圏、大阪圏などの都市河川は、以前に比べ水質はかなり改善しました。
しかし、それでも・・・です。
一定数の方がチャレンジしていますが、あまりお勧めはできません。
食べる目的の方はできるだけ、海で獲れた、しかも回遊してきたシーバスにしたほうがよさそうです。
通いこみこそ正義
河川シーバスは難しいですが、だからこそ奥深く、攻略しがいのある釣りです。
わざわざ向かう、というよりは近くに川があって、行ってみたい、という人も多いのではないでしょうか。
河川シーバスの一番大事なことは通いこみです。通いこんで、投げやすい、釣りやすいポイント、釣れるルアーなどの自分なりを探し出してみてください。