リールは故障したり大規模にメンテナンスしたりする場合はオーバーホールという分解・洗浄(部品交換)・再構築作業が必要です。
オーバーホールは一人でもできますが、高額リールで特殊な加工が施されている場合はメーカーに出さなければいけません。
そして一人でやると、初めての場合はたいてい失敗します(以下写真参照)。
そこでオーバーホールを出すか迷っている方へ、どんな場合に必要で、その際の手順や注意点、価格などについて解説します。
実は私はある「失敗」をしてしまいましたので、その実体験を踏まえて解説します!
ちなみに、ロッドの折れなどによる保証の出し方についてはこちらをご覧ください!
オーバーホールってなに?
リールを分解しパーツの洗浄と交換をすること
オーバーホールとは、リールを一度バラバラに分解して、中身の部品を洗浄してまた組み立てることです。ギアなどが摩耗していたり錆びていたりするため、そうした場合は部品を交換します。時計などでも行うことがあります。
リールはどんなに手入れをしていても中のオイルが劣化したり、段々と周囲の砂やほこりを巻き込んでゴリ巻き感が出てしまうことがあります。そのため、一度すべてを洗って油を指し直すことで、新品の時のような巻き感に戻すことができるのです。
故障時は大体どこかの部品が外れたり破損していたりするのが原因ですから、故障の際もオーバーホールで直すことができます。
オーバーホールは自分でもできるがおすすめしない
オーバーホールは自分でもできます。調べるとリールの構造図(設計図)が用意されている場合もあります。
そのため、手先の器用さに自信のある方はご自身でオーバーホールするのもアリです。
ただし!リールは結構複雑なつくりをしています。ばらすのは簡単ですが元に戻せなくなるリスクもありますので、慣れていない方はまずは壊れてもいいくらいの安リールで練習してからやるか、素直にメーカーに出してしまうのがおすすめです。
メーカーの「オーバーホール」が必要なリール
1万円以下のリーズナブルなリールは不適
ここまで、メーカーへのオーバーホールをおすすめしてきましたが、オーバーホールは最低でも5000円前後はかかります。そして、大体は部品交換等もしますので、そうなると1万円近くかかることになります。
そのため、1万円以下のリーズナブルなリールの場合オーバーホールは自分で行うか、思い切って買い替えてしまう方がお得です。
なお、釣り具は処分する際に、捨てるだけでなく「売る」方法もあります。
釣り具の処分方法については以下の記事も参考にしてください。
マグシールド搭載リールはオーバーホール必須
逆に、自分でオーバーホールをしてはいけないリールもあります。それがダイワの1万円以上の多くのモデルにはマグシールドという、特別な機能を搭載しているリールです。
マグシールドとは、リールの可動部に磁気を帯びた油が覆ってあり、リールのコア部分にゴミが入らないようになっているものです。
作りが特殊なだけでなく、油も特殊なため、一般の人では手入れができません。そのため、マグシールドリールはメーカーにオーバーホールを出さなければいけないリールになります。
オーバーホールの出し方
釣具屋に持って行くだけ
メーカーではなく釣具屋
オーバーホールはメーカーにリールを送って、メーカー側で修理をしてくれることを言いますが、直接送るのではなく、必ず釣具屋さんを経由して送ります。
そのため、まずは近くの釣具屋にリールを持っていき、店員に「オーバーホールをお願いしたいのですが」と問い合わせる必要があります。。
店員さんがリールを実際に確認し、場合によっては症状の説明やかかりそうな金額を教えてくれます(これはお店や店員さんの力量などによります)。
支払いはリールの受け取り時
実際の支払いはリールの受け取り時になります。いくらかかるかはメーカーのWebサイトに載っています。大体ですが、分解・洗浄だけなら5000円前後で、破損したり摩耗して原状復帰が不可能な部品の交換などが入るとその部品代が付加されます。
メニュー | 価格の相場 |
---|---|
スプールオーバーホール (スプール部分オーバーホール) | 1,760円+部品代 |
スタンダードコース (部品交換なし) | 3,960円のみ |
フルメンテナンス (工賃+部品交換) | 4,510円+部品代 |
金額は事前に見積もりを出してくれるところ、「上限金額」(例えば「1万円以上の場合は要見積もり」等)を設定する場合など、様々ですので釣具屋の店員さんに聞いてみましょう。
ダイワは「SLP会員」になろう
ダイワのリールの場合、「SLP+」というメンテナンス会員サービスをやっています。「SLP」なんていうから非公式の独自サービスだと思ってしまいますが、ちゃんとダイワの公式サービスです。
わかりづらいですよね。
しかし、登録(無料)をしておくとオーバーホール20%オフなどのお得なサービスが受けられますのでダイワのリールをお持ちの方は必ず登録しておきましょう。
なお、SLP会員になり、クーポンによる割引を受ける場合は以下の手順を踏む必要があります。
- Step1店員にオーバーホールの依頼であることを告げる
ここは他のメーカーのリールと同じです。
- Step2メーカーへの申込書に会員Noと、「クーポン利用」であることを書く
「申込書」は店員さんが書いてくれる場合は店員さんに『SLP会員であること(店員さんはSLPのことを既知です)』『割引クーポンを使用すること』を必ず告げて、書いてもらいます。
- Step3店を出た後、SLP+にログイン
必ず引換証はもらいましょう。
- Step4マイページの「利用登録」をクリック
ここでの「利用登録」とは「オーバーホールのクーポンの利用登録」の意。
- Step5引換証の「お問い合わせNo」を記入し使用するクーポンを選択する
- Final「>内容確認する」をクリックし、完了
詳しくは、SLP+の公式ページをご確認ください。
期間は大体2~3週間かかる
メーカーには一日に何件もオーバーホールの依頼が来ており、一度出すと最短で2~3週間ほどかかります。大型連休や年末年始などをはさむ場合は1か月程度見ておいた方がよいでしょう。
そのため、頻繁に釣りに行く方は替えのリールを用意しておいた方がよさそうです。
管理人のオーバーホール体験
管理人もつい先日オーバーホールをしてきました。
ダイワのフリームス。マグシールド搭載のリールなのでメンテナンスができず、最近ゴリ感が気になっていたからです。
実勢価格で13000円ほどなので、高額っちゃ高額なんですが、ステラやアンタレスなどのハイエンドとは言えません。マグシールド搭載リールとしては一番安いモデルになります。
店員「あ~これはすごいゴリ感ですね」
向かったのは某上州屋。会社と家の中間地点の乗換駅にあるんで便利なんですよね。
初めてのことでしたので緊張しつつも、「あの~、リールのオーバーホールをお願いしたいのですけど…」と言うと、リールを見せてもらえますか?と。
渡してみると
あ~これはすごいゴリ感ですね
(え、マジ?そこまで気になるの??)
と、ちょっと焦りました。確かにゴリゴリしてはいたんですが、ハンドルが回らないほどではないし、比べたことがないのでわからなかったんですよね。
これは1万円超えちゃうかも…これフリームスですよね。買ったほうが早いかもしれませんよ…。
と、言われちゃいました。そんなことまでわかるなんて、釣具屋の店員さんはすごいなぁ…
でも結構愛着あるリールだし、そもそもオーバーホール体験してみたかったし、あとはこのブログで書きたいし…そんな思いでしたので、
では、1万円を上限として、それ以上になりそうならやめるようにしますか?
という素敵なオファー。そんなことできるんですか!! ということで、そういうさせてもらいました。
フリームスはダイワなので事前にSLP会員になっていました。入会後3か月以内に使える20%クーポンがあったのでそれを使用する旨を告げ、引換証をもらってとりあえず撤退です。
パーツはとんでもなく汚れていた
ダイワのSLP会員になっていると、進捗状況がわかるんですよ。「出荷待ち」「作業中」「出荷終了」など。出荷が終了すると事前にいくらかかったかも見られます。
で、三週間弱待つと作業終了のメールが来て、1日後に上州屋から「取りに来てください」との電話が。仕事があったので2~3日行けなかったのですが、合間を縫って取りに行きました。レジで受け取りを告げると、
どうぞ~
と渡されたリール。巻いてみると、神の巻き心地!☆彡 スムーズ!というか何も感じない!笑
(めちゃくちゃゴリ感あったんやん…気が付かなかった)
そして、交換したパーツも渡してくれました。
え?ちょっとまって…
なんじゃこりゃ!!
きったな!!!!
ラピュタのロボット兵から接収してきたといわれても信じちゃうくらい、めちゃくちゃ汚れてるパーツ。そりゃゴリ感もでますよね。
てか、私の使い方の悪さ…というか、マグシールド、機能してない…?
金額はまさかの9900円
というわけで、リールはとても良い状態に戻ってきたんですけど、価格がなんと9900円。12000円くらいするものがクーポン使って20%引きになってこの値段。
元のリールが13000円なので、完全に新しいの買ったほうがいいです。
失敗というのは、これのこと。
オーバーホール1週間後、さっそくシーバスを…
1週間後くらいに仕事終わりに隅田川に行ってさっそく釣行してきました。
夕マズメ、レンジバイブのレッドヘッドカラーのルアーをダウンクロスに投げてストップアンドゴーをしているとゴン!!
50㎝のフッコさんが釣れてくれました。
確かに巻き感が改善されてミノーの操作感がよりわかるようになりましたし、ファイトもスムーズにできました。ま、バイブだから操作感あまり関係なかったけど(笑)
丁寧に使う人なら1万円リールでも採算は取れる
以上が、実体験も踏まえたリールのオーバーホールのやり方の解説でした。
私は元来雑な性格なのでオーバーホールと新品リールの値段が同じという損をしてしまいましたが、丁寧に扱える方であれば定期的なオーバーホールは意味を成すのではと思います。
こまめにやれば長持ちもするし、スムーズな巻き感のあるリールならルアーの細かい操作もしやすくなります。ただ機種などによって価格などは大きく異なってくるので、一度リールをもっていって店員さんに相談するのが良いかもしれませんね。