シーバス釣りは、ルアーに口を使わせるのが大変なので、雑誌やYouTubeでも、「どう食わせるか」という記事が多くリリースされています。
しかし、最も緊張し、気を遣う(かつ大事)な瞬間は掛かった後のやり取り、別名ファイトや取り込みです。サビキやちょい投げ等の釣りと違ってルアーでの中型~大型魚の取り込みはとても気を遣う部分です。というか、何百匹ヒットさせても、キャッチできなければゼロ匹です!
あまりその点を直接解説してくれるコンテンツが少ないため、バラシ王の私が、あらゆる知識と経験をもとに、標準的な想の取り込み手順とバラさないための留意点をお伝えします。
ちなみに、一通りの手順はわかっているけどバラシが多い・・・という方にはこちらも合わせてご覧ください。
シーバスは取り込みに最も気を遣う
最初のころは魚がかかった後、単に引いてくればよい、もしくは網に入れればよい、といった印象を持ちがちですが、ルアーでシーバスがヒットした場合はかなり気を遣う点が多いです。
理由の一つはそのバラシの多さ。シーバスは口の中が大変硬くできているうえに「エラ洗い」というルアー外しの超絶奥義を持っています。ヒットしてもランディングするまで一切気を抜けないのがシーバスとのやり取りです。
さらに、サイズが基本的に30cm以上と、比較的大きいのも取り込みを難しくしている原因の一つ。無理やりごりごり引いてくればラインブレイクの危険があるし、重いために力も必要になってきます。
多くの経験を積みにくいのも上達を妨げている原因の一つです
こうした困難に当たらないよう、釣りに行く前に、いったん取り込みの手順を確認しておくのが良いでしょう。
シーバスの取り込み手順
(1)「合わせ」を入れてフッキング
シーバスが食うと「ガツン!」とだれでもわかるような衝撃が手元に伝わります。思い出すだけでニヤニヤしちゃいますよね。これを感じたらほぼ脊髄反射に近い形で思い切り合わせを入れましょう。
合わせ、とは、倒していたロッドを素早くシーバスのいない方向にグンっと引くこと。遅すぎず速すぎず…例えば剣道で打ち込むときに竹刀をグンとあげると思いますが、あれに近い速度だと思います。
なお、バチ抜けなどパターンによってはアタリがモゾっとしているときなどがありますので、ルアーを引いているときはロッドに伝わるメッセージを見逃さないように集中力を研ぎ澄ませておきましょう。
(2)糸の緊張を保ちロッドを下に向ける
糸は緩めるとフックが抜けるスキを与えるため、緊張を保ちましょう。
シーバスは口に入った異物を取ろうと空中にジャンプして頭をふる「エラ洗い」という最強の技を繰り出します。これを予防するために、なるべくロッドは下に向け、ライズしづらい状況を作りましょう。
ぶっちゃけそれでもエラ洗いはしてきます。ですので大事なのはフッキングと「糸の緊張」です。
(3)手前に寄せてくる
うまく乗ったらハンドルを巻いて手前に寄せてきましょう。コツはシーバスが抵抗している間はロッドをその反対方向に向け、ハンドルは巻かずに押さえておくだけにすること。これで相当数ラインブレイクを防げます。
しかし、釣り人方向に泳ぎだしたり、力を緩めたときは思い切りゴリ巻きです!要はそのタイミングの見分けが大切です。
(4)空気を吸わせて弱らせる
手前に寄せてきたら今度は糸の緊張を保ちつつ、シーバスの頭を水面から出して、空気を吸わせましょう。これで弱らせればそのうちゴロンと腹を見せ、抵抗がなくなります。これがタモ入れのチャンス!
(5)タモに入れる
「タモに入れる」の表記の通り、タモを動かして掬うのではなく、固定したタモにロッドを動かしてシーバスを入れるのが正しいです。
タモは網が水の抵抗をもろに受けるので水中にあると重くて片手では動かせません。加えてシャフトが折れるリスクもあります。
(6)タモを縮ませて取り込む
最後取り込みはタモを垂直に縮ませることで取り込みましょう。
虫取り網のように水平に持ってこようとすると確実に折れます。私は折りました。
慌てていて、つい…。
キャッチ率を上げるためのシーバスの取り込みの際の注意点
まずは、バラシに悩む皆様へは次の記事をご覧ください。
詳しくは上記記事で述べていますが、特に重要な2点をあげましょう。
普段からラインの傷に注意する
ドラグはラインブレイクを防ぐためにありますが、ブレイクを恐れるあまりドラグが緩すぎるとフッキングがあまく、バレの原因となります。
ドラグを締め、自信をもって落ち着いてやり取りをするには普段からラインが傷つかないように丁寧に扱い、リーダーはこまめに傷がないかチェックすることが重要です。
取り込む場所を決めておく
手前でバレてしまう大きな原因の一つに手前に来てからどうしようかわからず、慌ててしまうことがあります。足元を見ておらず、磯や河川ではうっかり岩やストラクチャーに寄せてしまってランディングできない…ということもあります。
そうならないために、キャスト前から、手前の状況をよく見て、どのへんでランディングさせるのか、計画を立てておくことが重要です。
同時に、足元の安全を確保することを忘れないように。釣れた魚の取り込み中に高波にのまれて死亡したという事例があります。
釣れたシーバスの扱い方
ここからは取り込んだ後の倫理的な注意点となります。
まず、シーバスは素手では触ってはいけません。魚にとって人間の体温は非常に高温。その手で直接触ると大けがをします。
触った直後は見た目ではわかりませんが、リリースしてしばらくすると鱗が取れ、ひどくただれるそうです。
同じ理由で、直接地面に置くのもNG。特に真夏のアスファルトは人間でも火傷をするくらいですから、魚に触れたら大けが間違いなし。
リリースは素早く・蘇生をしてから
最近は――私も含めて――SNSの普及で釣った魚を写真に撮りたがる人が多いです。しかし、当然ながら空気中はシーバスは呼吸ができず、失神した状態です。リリースをするのであればできるだけ短時間で。何分もかけて長々と撮影することは避けましょう。
また、リリースするときはたも網の中、もしくは下あごをもって水中でしばらくステイしてあげましょう。仮死状態なので、気が付くまでしばらく待ちましょう。くるっと生き返ったらそのままリリースです。
まとめ
シーバスの色々書きましたが、やり方が小型魚とは違うというだけで、手順さえ覚えれば難しいことではありません。
取り込みはシーバス釣りの「詰め」の部分。ここがしっかりしてないといくら釣れるルアーやアクションをしてもキャッチはできません。
苦労して掛けたシーバスをみすみす取り逃さないように、取り込み・ファイトの仕方は事前に確認をしておきましょう。