カヤック・ボート・SUPの出船可能な波高や風がわかる天気の読み方

シーカヤックやボート、SUPフィッシングは、波風に影響を受けやすいため、事前の天気の確認が必須。ですが、天気予報ではシーカヤックの出船の可否なんてやらないので、天気のどこに注目すればよいかわからないですよね。

この記事では、シーカヤックやボート、SUPフィッシングをする人のために、天気予報や当日の釣り場の状況をみて、出船可能かどうか判断することができる要素を簡単にまとめました。

ちなみに執筆者はシーカヤックでの釣り経験が1年ほどあり、1級小型船舶操縦士の免許も持っています。今回は小型船舶の操縦経験も踏まえたうえで記事を書いてみました。

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波予報・風予報の調べ方と見方

まず、シーカヤックもSUPも軽くて転覆のしやすいボートです。ちょっとした波や風で転覆したり流されたりする危険があります。

一方で、事前に天候を把握しておけば、相当部分のリスクは回避可能です。

波予報・風予報で検索

まずは波予報、風予報を必ず見ましょう。普段天気と気温くらいしか注目したことない人は最初戸惑うかもしれません。具体的には「(地名) 天気 波」などと検索するとよいです。波や風はサイトによっては掲載していない場合もありますので、波や風を検索ワードに含めることが重要です。 

当サイトオススメは「海天気.jp」(https://www.umitenki.jp/)。風と波の表示がわかりやすいです。

引用:海天気.jp「観音崎の天気(3時間)

これはとある日の横須賀観音崎の風と波の予報です。風は0.9m~1.7m。波は0.2m(20cm)で、SUPやカヤックにとって最高の日です。

行きたかったなぁ

波高や風向を簡単に知ることのできる便利なアプリもありますので、詳しくお知りになりたい方は是非。

出船可能な波高と風の強さ

SUPやカヤックで釣りをする場合、波の高さは0.5m以下を推奨します。

0.5m以下の観音崎。このくらいなら安心

波の高さ(波高)とは波の一番低いところから頂点までの高さのこと。1mの波、といった場合、小型のカヤックやSUPだととても危険なことがわかります。

そして波予報は「有義波高」といって、最も高い波から数えて1/3の波の平均値を出しています。そのため、予報で出ている波よりも高い波も来ます。例えば波予報0.7mの場合、1mクラスの波も来るのです。

0.5m以下であれば1mの波が来ることは考えづらく、安全の可能性が高いです。

波高0.5~1mでは釣り不可能

波高が0.5mを超えてくるとカヤックは結構揺れます。1mを超えると転覆の恐れがあります。

1mの波はプレジャーボートでも結構怖いです(汗

これでも安心できない程度のうねりです

本格的なカヤックや熟練者であれば1m程度でもなんとか漕ぎ出せるかもしれませんが、海上で停泊する必要のある釣りは難しいでしょう。

風速は2~3mまで

風速は2~3m以内が許容範囲。それ以上になると波も高くなる(風速5m/s以上で波高が1m以上になる)ため危険です。

また、シーカヤック(特に空気で膨らますタイプ)の場合、船そのものが帆の役割をし、風で流されてしまいます。4mを超えるような強い風の日は無理をせず諦めましょう。

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予報が出ない先の確認方法

地球からしたら1~2mの波や風は誤差の範囲。そのため、予報もしづらく、1~2日前くらいまでこないと当たりません。しかし、釣行回数の少ない方は、なんとなくでもよいので、少し先の波の予測をしたいですよね。

気象予報士ではないのでざっくりとした予想しかできませんが、知っていると天気予報を見て自分なりに予測を立てやすくなります。次の方法は、カヤックやSUPだけでなく、波の高さが重要な磯釣行でも参考にできます。

天気図を確認しよう

まず天気図(現在の図と将来予報図)を見てみましょう。いずれも、気象庁のWebサイトで閲覧することができます。

特に低気圧がどの位置にいるのか、そして等圧線が何本あるのかに注目してください。等圧線の多い低気圧が近くにある場合は風が強くなる可能性が高まります。風が強ければ波も高まるため、カヤック・SUP出船の目安になるでしょう。

また、北半球では西から東(地図の左下から右上)に気流があるため、自分の住んでいるところより南西に注目すると当たる確率は高まります。

低気圧や台風の位置を把握しよう

特に、台風などの巨大な低気圧がある場合は大体の天気が予想できます。実は、台風などの大きな低気圧が起こす風がうねり(波)を生んで、それが日本の沿岸に影響を及ぼします。

具体的に言うと、北緯20度、東経160度の範囲に台風がある場合、うねりが24時間~48時間後に日本列島の到達すると言われています。

 

出典:森 朗 著『海の気象がよくわかる本 (趣味の教科書)』エイ出版社、2012、67頁

私はこれを頼りに磯釣りに行ったことがあります(磯のヒラスズキは大荒れの日に釣れる)。台風が南海上を九州に向けて猛進中の日でした。みごと、大変なシケにあたることができました。

荒れすぎて釣りになりませんでしたけどね(笑)

必ず地形を確認しよう

地形によって天気予報通りでない場合があります。例えば油壺湾は深い入り江になっていて、外側が荒れていても湖のように静かなときがあります。逆に横須賀観音崎は、外洋に飛び出たつくりになっているため、波の影響を受けやすいです。

油壷湾の様子
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釣り場について確認すること

天気予報だけみても、実際の釣り場では様子が違った…ということもあります。

安全のために、念には念を入れて、出航前に当日の釣り場の様子もしっかりを観察しましょう。

白波が立っていたら取りやめる

白波が立つ状態は、波が水面の表面張力で維持できず、砕けてしまう現象。つまりそれほど波が高い状態を指します。風速7~8m/sで白波が立つと言いますが、それくらいのレベルです。

怖いのは、風がなくても遠くの低気圧の関係でそれだけうねりが生まれることがあるということ。白波が立つほどではシーカヤックなどで落ち着いて釣りなんてできません。潔く諦めましょう。

沖に吹き付ける風に要注意

風は陸では弱くても、沖に行くほど強くなることがあります。まずはそのことを念頭に入れましょう。

そして、風の吹き方ですが、沖から陸に吹く風は、比較的安全。この場合キャスト後いちいち沖に戻る必要があり、釣りがしづらいです。しかし、疲れるだけで沖に流される危険はないために安全です。

危険なのは逆で、陸から沖に向かって吹く風です。漕いでも漕いでも進まず、疲労がたまって戻れなくなる…となったらシャレになりません。沖まで出てみて風が強いようでしたら方向次第では諦めて戻ることが肝心です。

海流をしっかり把握しよう

最後に、海流をしっかり把握しましょう。シーカヤックやSUPの場合、遭難の原因で怖いのは、離岸流よりも沖の左右に流れる海流です。仕掛けを作るのに夢中で下を向いていたら500mほど流されて「あれ? ここはどこ?」となると地獄です。

沖に出たら漕がないでも流れる方向を把握しておきましょう。ちなみに、地図を見て、海が狭まっているエリアは流れが速いことがあります。
例えば神奈川県の観音崎と千葉県の富津岬に挟まれているエリアは「走水(はしりみず)」という地名が付くほどに誇張ではなく川のように流れが速いです。

大潮の日には真下に落としたはずの100gのジグも斜めに落ちていくほどですので、動力船でさえアンカーを打たなければ危険です。

観音崎や富津付近で出船する場合は要注意!!

流れの把握は釣果アップにもつながりますので必ず確認するようにしましょう。

できればシーアンカーをつけて流されない工夫もした方がより安全です。

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天候や波に詳しくなれる書籍を読む

ここまでご紹介した知識は、水難事故に関してYahoo!ニュースでたびたび投稿されている斎藤秀俊先生からの知識のほか次の書籍によるところが多いです。

うねりや風の発生メカニズム、風がうねりをどう起こすか、海底の地形がうねりをどう変化させるか、などが体系だって書かれていて、SUPやカヤックフィッシングだけでなく、普段の釣りにおいて流れなどを理解する際にも非常に役立ちます

シーバス釣りなどでは、魚の特性を知っていても、水中の地形や波のメカニズムが理解できていないとその知識を活かせません。電子書籍も出ていますので是非この機会に学んでみてはいかがでしょうか。

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無理は禁物、不安ならすぐやめる勇気を

何度も繰り返して恐縮ですが、SUPやボート、カヤックフィッシングにおいては、「危険」「不安」を感じたら勇気をもってすぐに引くことが正解です。無理は絶対禁物。慎重に慎重を重ねましょう。

ただ、波や風の知識が少しでもあれば、その判断が的確になりますし、不要な心配をして神経をすり減らすことも減ります。

釣果を上げるためにも、そして自身の安全のためにも是非波風に詳しくなってください。

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